「家族が突然逮捕された…」「警察が自宅に来て家宅捜索を受けた…」「書類送検すると言われた…」
身に覚えのあるなしに関わらず、刑事事件に巻き込まれることは誰にでも起こりえます。突然の出来事に混乱し、今後の見通しが立たず不安にさいなまれる方も多いのではないでしょうか。
刑事事件は、事件発生から解決まで、複雑な手続きを経て進んでいきます。「逮捕」「家宅捜索」「書類送検」… これらの言葉だけでも、大きな不安や恐怖を感じるかもしれません。しかし、刑事事件の当事者になってしまったとしても、決して諦めてはいけません。
刑事手続きの流れを理解し、それぞれの段階に応じた適切な対応を取ることで、早期釈放や不起訴獲得の可能性を高めることができます。そのために、できるだけ早い段階で刑事事件に精通した弁護士に相談することが大切といえます。
この記事では、刑事事件の大まかな流れと、弁護士のサポートを受けることで得られるメリットについて具体的に解説します。
目次
弁護士のサポートが必要となる3つの場面
家族が逮捕されたり、ご自身が捜査の対象となったりした場合、次の場面で弁護士のサポートが必要になります。「話せばわかってもらえる」という気持ちで安易に供述してしまうと、その供述は後々不利な証拠として採用され、覆すのが困難になってしまう可能性もあります。
1. 捜査機関の取調べに対する方針決定とサポート
警察の取調べは、密室で行われ、取調官と一対一で対峙しなければなりません。
「話せばわかってもらえる」という気持ちで安易に供述してしまうと、後々不利な証拠として採用され、不利な状況に追い込まれてしまう可能性も否定できません。
弁護士は、あなたの権利を守り、不利な供述調書の作成を防ぐために、以下のサポートを行います。
- 捜査機関の質問に対して、どのようなスタンスで対応するべきか、一緒に検討し、最適な方針を決定します。
- 逮捕後の接見では、落ち着いて状況を把握し、今後の対応策を一緒に考えます。
- 取調べ前に弁護士に相談し、想定問題を通じて事前準備をしておくことができます。弁護士は必要に応じて取調べに同行することもあります。
2. 迅速な身柄解放活動
逮捕されると、最長で23日間もの間、身柄を拘束される可能性があります。
弁護士は、勾留の必要性・相当性を争い、一日でも早くあなたを釈放できるよう、以下の活動を行います。
- 検察官に対し、釈放を求める意見書を提出します。
- 勾留決定が出された場合には、勾留の不当性を訴え、準抗告などの不服申し立てを行います。
- あなたの日常生活や仕事への影響を最小限に抑えるために、早期釈放に向けたあらゆる手を尽くします。
3. 示談交渉による前科回避
被害者のいる事件では、示談が成立すると、一般的には不起訴処分など処分が軽くなる傾向にあります。示談交渉は、弁護士に依頼することで、よりスムーズかつ有利に進めることが期待できます。
- 被害者との間に立ち、示談条件の交渉や示談金の支払いを行います。
- 被害者感情に配慮しながら、早期釈放、事件の早期解決を目指します。
捜査段階の流れ
捜査段階とは、警察が捜査を開始し、検察官により起訴・不起訴の処分が決められるまでの期間を指します。
1. 捜査の開始
警察は、110番通報、被害届の提出、目撃情報など、様々なきっかけを元に捜査を開始します。
そして、証拠収集、関係者への事情聴取などを行い、事件の全容解明を目指します。
2. 逮捕
犯罪の嫌疑が固まり、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断された場合、裁判官が発行する逮捕状に基づき、逮捕されます。逮捕されると、警察署内の留置場に留置され、取調べが行われます。
3. 検察官による勾留請求
逮捕後48時間以内に、警察は被疑者と事件の証拠書類を検察庁に送致します(送検)。
検察官は、送検後24時間以内に、引き続き被疑者を拘束する必要があるかどうかを検討し、必要と判断した場合、裁判官に勾留を請求します。
4. 裁判官による勾留決定
勾留請求を受けた裁判官は、勾留の必要性を検討し、勾留状を発するか否かを決定します。勾留されると、その後10日間、さらに延長された場合には、追加で最大10日間、警察署にて勾留されます。
5. 起訴・不起訴の決定
検察官は、勾留期限である10日以内、勾留延長が認められた場合は20日以内に、被疑者を起訴するか不起訴にするかを決定します。
起訴とは、刑事裁判を求める意思表示であり、略式起訴と公判請求の二つがあります。
不起訴処分となった場合には、身柄は釈放され、前科もつきません。
公判段階の流れ
起訴が決定すると、事件は裁判所に移り、公判手続きが始まります。
1. 保釈
起訴後も身柄が拘束されている場合、一定の条件を満たせば、保釈請求によって、裁判が終わるまで身柄を解放してもらうことができます。保釈請求は、弁護士が保釈請求書を作成し、裁判所に提出します。
2. 検察官による証拠開示
公判期日前に、検察官は、被告人側に対し、公判で提出する予定の証拠を開示します。弁護士は、開示された証拠を精査し、被告人に有利な証拠の収集や、証人尋問の準備を行います。
3. 公判手続き
公判期日には、検察官と弁護士が、それぞれ収集した証拠を裁判所に提出し、審理を求めます。また、証人尋問や被告人質問などが行われ、事件の真相が明らかにされていきます。
4. 判決宣告
すべての証拠調べや弁論が終了した後、裁判官は、被告人が有罪か無罪か、有罪の場合の刑罰の内容を決定し、判決を言い渡します。
まとめ
刑事事件は、 被疑者・被告人にとって、大きな不安と負担を伴うものです。早期に弁護士に相談し、弁護活動を依頼することで、不利益な状況になるのを回避し、事件の早期解決が現実的になるでしょう。もし、あなたやあなたの大切な人が刑事事件に巻き込まれてしまったら、一人で抱え込まず、まずは経験豊富な弁護士にご相談ください。